ABOUT HOTTETERRE & CO.JAPAN



オトテール商会は自然のぬくもりや暖かさを感じることの出来る、自然の素材を大切に使用した楽器の製作に携わっています。現存するバロック木管楽器は人類史上における楽器製作技術の一つの頂点を現代の私達に伝えています。

そのような素晴らしい木管楽器を「今、この時代に比較的求めやすい価格で提供したい!」「トラヴェルソという楽しく魅力的な楽器をより多くの楽器愛好家に提供したい!」「バロック木管楽器がいかにシンプルで洗練れ暖かみのあるものかをもっと大勢の皆さんにお知らせしたい」という私の切望がこの工房開設にいたった基本的な趣旨となっています。

しかしながら勿論、安価な楽器がたやすくできることは一般的にあまりありません。なぜならば、求めやすい価格のハンドメイドの木製楽器の製作には非常に大きな製作者の奉仕精神と共に、これらの楽器に対する純粋で心からの熱意や、あらゆる自己負担が強いられ、加えて一つ一つの作業がその完成に至るまでが、祈りの結晶のような作業の連続だからです。

それ故、オトテール商会の楽器たちは楽器製作作家:竹佐恵悟が直接作った楽器であるとともに、アートとしての芸術作品でもあるのです。それは例えるなら、まさに画家が描く一枚の絵画のような価値を備えていて、商品価格を問わず、大量生産された楽器とは全く別の意味を兼ね備えた作品と言ってもよいものです。


オトテール商会楽器製作工房の取り組みとしては主に1key Baroque Fluteの製作や復元があげられますが、その他のバロック木管楽器の製作・修理・調整等も手がけています。製作楽器のモデルに関しては普及型の木製楽器を低価格で提供することにウェイトが置かれていますが、オリジナルの楽器データーに基づいたオリジナルモデルの製作や、オリジナル楽器の個人所蔵品の計測や複製、バロック木管楽器の修理調整等も含まれます。

以上のような心情信念に根ざしながら当工房は、何処までも人と人との善良な交流や伝統の中にも絶えず新しい試みの導入を忘れることなく、自然素材の有効性を十分に生かした親しみのあるもの造りを行っています。


現在、わたくし自らが材を厳選し処理・穿孔したり、実際に鑿や工具を持って一本一本に「バロック時代の音色よ湧き起これ〜」と気持ちを込めて製作しています。一般的にトラヴェルソですと金属加工を含め11種類の小さな部品をすべて自らで作り出さなければなりません。普及価格商品でも楽器元来の装飾などをできるだけ省かず最低でも100分の一ミリ単位を瞬時に目測して鑿をあてがい、イメージどおりに削っています。私は利潤追求をはるかに通り越した境地で(・・・といっても趣味で工房を開設しているわけではありません。)バロック木管に対する独自の特別の愛情を込めて楽器を作っているため、出来上がる楽器はすべて私固有のアート・芸術作品として完全なものと確信しております。どうぞ機会がありましたら、当工房の楽器を是非お手にとってご覧ください。



オトテール商会 代表
製作家 竹佐恵悟

「バロック木管楽器製作家としての私の位置について」

私はバロック木管楽器製作と演奏を自らの人生のライフスタイルにしている、一芸術作家として仕事に携わっています。しかし、私の携わる楽器製作の分野はごく一般的に親しまれている絵画、書道、彫刻、モダンアートなどの分野とは大変異なったもので、完成した楽器はいろいろな点で普通の静物芸術作品とは一風異なった作品です。

バロックフルートの魅力のひとつは、まず、その外形にあると言えるでしょう。

その全体を概観すると、吹き口のある頭部から、スプーンのような金属弁がついてるフットにいたるまでの美的ラインには、非常に高度に洗練された芸術的な輪郭が見られ、どの方向に回転させたとしてもその美しさを発見できる点では、伝統的な楽器としてだけではなく、静物アート作品の極めつけといってもいいほどです。また、特に製作するに当たっては精密な実測データー設計図が必要で1/101/100ミリの寸法の違いでもその全体に与える美的影響が現れるような、とても精度の高い彫刻物といってもいいでしょう。

それだけに製作に関しては細かで神経を研ぎ澄ませなければならない作業の連続で、それは、製作材料の材木の厳選からはじまっていくことになります。一本の楽器が完成するまでに関係する分野は、木工技術だけではなく金属加工技術、音波の共鳴理論、材料染色時の化学的作用、などに加えて音楽理論などです。

しかし、もっと大変なことは、それらの多くの分野を知識の領域でとどめおかず自分の中で知恵に変態させ、究極的写像の形状を材料の上に三次元的に転写する仕業で、そのことが、木管楽器製作に携わる゛芸術家のセンス゛というか ゛インスピレーション゛を形にするときに、内なるところに神からの力を感じる一番心地よい瞬間を私にもたらしています。「大変なこと」=「生きがい」?でしょうか。言い換えるならば、すなわち上なるところからの ゛直感゛と ゛技術゛の融合と結晶が私の形作る芸術であるバロック木管楽器の存在を造り出すこととなるのです。

さらに、一般の芸術作品と異質な点は、楽器は「音が出る」ということです。

普通のこととして、単に木を繰り抜いて吹き口と指穴を開けても楽器は出来ます。しかし、バロック木管楽器の場合それだけでは使い物になりません。バッハ、ヘンデル、ヴィヴァルディーなどの偉大な作曲家たちが書いた難しい曲を時代に沿って演奏できるほど音程が整っていなければならず、ただ、音階らしい音が出るというのでは私の芸術作品に満点を付けることは出来ません。

このように製作家としての私の取り組むべき仕事の内容と分野は多岐に渡るもので、私の生活の営み全体が楽器製作に集約されることでひとつの楽器が仕上がっていくのです。



私の楽器製作家としての仕事は自然界の観察からエネルギーと
その背後にある英知を感じ取ることから始まります。
(カモミール畑にて)